職業(その25) 

別れの季節ですね。

でも、
私には別れはないので、寂しくはないです。
4月に入っても出会いもありませんが。

さて、今日は土曜恒例連続企画、「いぬじが〇〇だったら」の日です。
職業図鑑の上から順に毎週違う仕事をいぬじにやらせていくという、いわゆる『もしもシリーズ』です。
今日の職業は、『建築士』です。

毎度のことながら、「どうやって国家資格取ったんだ」というツッコミはぐっと飲み込んでください。
今日のいぬじはどんな働きぶりを見せるでしょうか。
ではいってみましょー。


いぬじが建築士として仕事を始めて丸三年。
所長を含め5人のスタッフのいる設計事務所に勤めています。
去年まで設計はまだ任せてもらえず、お客さんにプランを提案したり、設計書から見積書を作成したりするのが主な仕事でしたが、裏方仕事も真面目にコツコツ頑張っていたおかげで、最近設計にも参加させてもらえるようになりました。時には実際にいぬじの案が採用されることもあります。

そんなある日、50代の夫婦が家の設計を依頼しに事務所にやってきました。
彼らの希望は、「ペットも喜ぶ家」。
ラブラドールレトリバーとフレンチブルドッグを飼っており、人も犬も暮らしやすい家を建てたいそうです。

詳しい話を聞き、お客さんが帰った後、犬を飼ったことのある建築士7年目の柳田さんが「僕にやらせてください」と手を挙げました。柳田さん以外に犬の飼育経験者がいなかったため、所長は彼にとりあえず任せてみることにしました。
柳田さんは人との協力を好まず、最初から最後までひとりで仕事をしたがります。しかし所長は事務所全体としてのカラーを大切にしたいので、柳田色が強くならないよう他の人の意見も聞きなさいと注意しているものの、なかなか改めようとしないのでした。

「ペット共生住宅、前からやってみたかったんだよね」
ウキウキしながら柳田さんがパソコンに向かいます。
「やっぱりリビングの窓から広めのウッドデッキに出られて、そこからドッグラン的な庭があるといいよな」
「こっちの掃き出し窓は外の様子がよく見える南向きの角に」
「階段の下に寝床スペースを作って、と」
「リビングは滑りにくい無垢材にしよう」
と相変わらずひとりで作業に没頭し、予定よりもずいぶん早く設計図が完成しました。

「所長、確認お願いします」
柳田さんが所長のパソコンに設計図データを送りました。
「…うん、よく出来てるんじゃないか」
「ですよね」
「これ、他のみんなにも見てもらおう」
「いいですよ、そんなの」
「いや、うちの事務所で初めてのテーマだ、勉強のためにも見せる必要があるよ」
「…まあ、そういうことなら」
いぬじ以外の3人(全員室内飼い未経験)は、「よく考えられてると思います」「いいんじゃないですか」と肯定的な答え。柳田さんはますます上機嫌です。
最後にいぬじが見せてもらいました。
「このおにわ、あそびばなの」
「そうさ、自宅ドッグランだよ、ドッグラン」
「でもラブさんにはせまいとおもうよ」
「…ま、まあ、それはそうだろうけど土地が限られてるんだからしょうがないだろ」
「7さいくらいになるとデッキからおりるのしんどくなってくるの」
「…そうなのか?」
「うん、デッキよりは、ぜんぶリビングのたかさでつなげてひろいテラスにしたほうがうれしいよ」
「あー、なるほどね…」
「ラブさんもフレブルさんもおとこのこだから、あんまりおそとはみえないほうがいいとおもうの」
「へ?なんでオスだとそうなんの?」
「みんながそうじゃないけど、そとをとおるひとがきになってほえちゃいたくなるの」
「へえ…そういうもんなのか…。なあいぬじ、あとは何かあるか」
「フレブルさんはケージがきらいだっていってたよ」
「ああ、だからケージを置く必要がないように階段の下に柵作って寝るスペースにしたぞ」
「それだとあんまりケージとかわらないの」
「…マジかよ、じゃあどうしたら」
「ダイニングははいってほしくないところのつうろをせまくしてゲートをつけられるようにして、しんしつはクローゼットをうえはんぶんにして、したにサークルがおけるスペースをつくるといいとおもうよ」
「はあ、なるほどな」
「あとむくざいもいいけどふつうのフローリングようのペットむけコーティングざいのひょうばんいいのがあるよ」
「へえ」
「あとここのだんさはなくして」
「ああ」
「テラスのてまえにスロープつけてあげて」
「うん」
「あとテラスにおゆのでるすいどうつけて、おさんぽからかえってきたらテラスからはいってあしあらってもらって、あめでぬれたらここでふいて、シャンプーもできるの」
「そりゃ便利だ」


その様子を、所長は後ろから嬉しそうに眺めていました。
最初のプレゼンの日、ご夫婦は大変このプランを気に入ってくれました。その後もほとんど修正はなく、無事建築が始まりました。
翌年のお正月、二人と二匹、とても幸せそうな写真付きの年賀状が事務所に届きました。

めでたしめでたし。


あーこんな家に住みたい。
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職業(その24) 

三連休ですね。
春休みが始まった学生さんも多いでしょうし、一応観光地である私の地元でも、県外ナンバーが多く見られました。
ま、私自身は隣の市にラーメン食べに行っただけなんですが。

さて、今日は土曜恒例連続企画、「いぬじが〇〇だったら」の日です。
職業図鑑の上から順に毎週違う仕事をいぬじにやらせていくという、いわゆる『もしもシリーズ』です。
今日の職業は、『ゲームクリエイター』です。

私がゲーム好きなので、これは珍しく期待大ですよ。
でははりきっていってみましょー。


いぬじが中堅ゲーム会社に就職してもうすぐ2年。
いぬじが入社する数年前までは、据え置き型や携帯型ゲーム機のゲーム制作もしていましたが、今はスマホアプリ一本でやっています。
昔この会社が作ったゲームでいぬじが夢中になっていたのは『GO!GO!大運動会』というタイトルでした。
ひたすらパン食い競争ばっかりやっていました。

さて、現在開発中のゲームは、『ねこまるめ』という無料(基本)アプリです。
このゲームは、家の庭に気まぐれにやってくる野良猫たちにおやつをあげたり一緒に遊んだりしてあの手この手で懐かせてから、ダンボールやカゴ、座布団など色々な寝床を用意して、できるだけ多くの猫を丸まらせるという内容です。

いぬじがやっている仕事は、その丸まっている姿のグラフィック制作です。
実に様々な丸まり方を作っており、中には完全な球形なんてのもあります(ちなみにレアのひとつです)。丸い姿だけでなく、「作戦失敗」バージョンである、足が伸びた状態やお腹を上に向けてだらしなく寝そべる姿、またいわゆる「ごめん寝」なども入っています。
丸まる姿も耳や足、しっぽなどに違いをつけ、配信開始までに、合計210種類作ることになっているのです。
2か月かけてようやく150種類まで出来ましたが、残りはまだ60種類。締め切りが迫っており、その量を2週間以内に完成させなければなりません。しかし皆そろそろネタ切れで、思うように作業がはかどりませんでした。

「そっちはどうだ?」
同じグラフィック担当の江藤さんがいぬじに声をかけてきました。
グラフィック制作担当はいぬじと江藤さんと、もうひとり、和田さんの3人です。つまり一人70種類がノルマであり、それだけ作っていれば当然似てしまうこともあるため、10種類作るごとにお互い照らし合わせ、似ていれば作り直すという地道な作業を続けてきました。いぬじはまだ元気ですが、江藤さんと和田さんは明らかに疲れていました。

「なあ、とりあえず150でいいんじゃないですかって橘さんに言おうか」
橘さんというのは開発リーダーです。210パターンにすると決めたのは彼なのです。新種類は一日3つまでしか出ない設定ですが、懐かせるのに数日かかるのと、レアな種類は出にくくしてあるため、210種類集めるには最低3か月はかかるように計算されています。
「でもそれだとさんかげつもたないよ」
「…まあ150だと、毎日順調に丸めたら2か月でコンプする人もいるだろうなあ」
「あつまったらやめちゃうよ」
「だろうな。配信後3か月目でアップデートする予定だからやめられたら困るんだよなあ」
「でも俺、限界、もう無理っす」
和田さんが会話に入ってきました。
「っつーか、配信後に増やしゃいいんじゃないすか」
「うーん、次のアプリの企画もあるし、できればこっちは早めに終わらせたいんだけどな」
「今苦しむか、後で苦しむか、究極の二択っすか」
「おだんご」
「…え?なんだいぬじ、団子くれんのか」
「ううん、おだんご」
「なんだよお前、団子買って来いってか?」
「ううん、おだんごがないの」
「だからなんだよ、食いたきゃ自分で買って来いよ」
「ちがうの、ねこのおだんご」
「お前、意味わかんn」
「…いや、いぬじ、それ、すごい良いアイデアかも」
「…へ?」
「そうか、1匹ずつのパターンが150、あとは2匹か」
「うん、おだんご」
「ちょ、あの、俺にもわかるように説明してくださいよ」

最近は全くそういう姿がなくなってしまいましたが、いぬじの妹猫と弟猫は以前はちょくちょく団子状態で寝ていました。それをかーちゃんが嬉しそうな顔で見ていたのを思い出したのです。
『人は猫が団子で寝ているのが好き』
ということをいぬじはよく知っていました。

結果、2匹できれいな丸になるパターンが次々と生まれ、あっという間に残り50種類が完成しました。橘さんにも大変好評で、配信後には3匹丸、4匹丸のパターンも増やすことになり、『ねこまるめ』はゲームアプリの殿堂入りを果たすことになりましたとさ。
めでたしめでたし。


私もやってみたいです。このゲーム。
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職業(その23・後編) 

昨日より二夜連続でお送りしております、
『いぬじが警察官だったら』。

刑事ドラマが好きで推理小説もそこそこ読んできたまめよしが、
2日も使って一体どのような話を創り上げるのか。
なんとなく予想はつくと思いますが、
(本当にちゃんとまとまるのか)ドキドキしながら続きをどうぞー。


忽然と消えたマユちゃんの匂い。マユちゃんは一体どこへ行ってしまったのでしょうか。
いぬじは訓練士の北山さんと先輩の岩本さんにダリアの言葉を通訳し、その場所から捜査員総出で聞き込みが始まりました。
皆が出払った後、気落ちしているダリアに、いぬじがふと尋ねました。
「マユちゃん、だっこしてもらったのかなあ」
「え?」
「ぼくも、かーちゃんによくだっこしてもらうから」
「小さいと便利ね」
「うん」
「ねえ、マユちゃんのにおいのとなりにあるにおいわかる?」
「え?…ああ、なるほど、それが連れ去った男の臭いってことね」
「うん」
「ちょっと待って、ええと、これがマユちゃんで、その横にずっとある臭いは、…これね」
「そのにおい、おえる?」
「もちろんよ」
「きたやまさん、いこう」
「え?何?ちょ、ダリア、ちょっと、おい」

ダリアはぐんぐんスピードを上げながら男の臭いを追跡しました。
そして500mほど行ったところで、
「ここよ」
と立ち止まりました。そこは、小さな町工場でした。
「よし、いぬじ、みんなに連絡してくれ」
訓練士の北山さんの言葉が終わらないうちに、
「ぼくみてくる」
いぬじはそう言って裏口の方へ駆け出しました。
「おい、いぬじ、マテ!」
ついコマンドをかけてしまった北山さんの制止も聞かず、いぬじはタタっと裏口の方へ回り、少し開いている窓を見つけました。うまい具合に窓の下にタイヤが積んであったので、その上に登って窓の中をそっと覗き込みました。
中はどうやらこの工場の事務所のようです。そこから、男二人の声が聞こえてきました。
「奥さん、遅いっすね」
「わざわざスーパーまで行けって、相変わらず人使い荒いよな」
「そろそろ仕事戻らねえと、社長うるさいだろ」
「でもこの子一人置いてって大丈夫っすか」
「大丈夫だろ、おやつやっときゃ」
いぬじは急いで北山さんの所に戻って状況を伝え、岩本さんにも連絡を入れました。
5分ほどして、岩本さんと他の捜査員が工場に到着しました。
「いぬじ、本当にマユちゃんがいたのか」
「うん、おかしたべてたよ」
「犯人は二人なんだな」
「うん、もういっかいみにいったけどふたりだったよ。マユちゃんはおいしそうなおかしたべてたよ」
「武器は持ってたか」
「ううん、すまほいじってたよ。マユちゃんはおかしいっぱいたべてたよ」
「よし、突入準備!」
「おかし」

と、そこへ、60代くらいの女性が工場へ入っていこうとしました。
「ちょっと、奥さん」
「あんた達何よ、ひとの工場の前で」
「あなた、ここの方ですか」
「社長は主人だけど。私は専務」
「ここに、若い男性と小さい女の子がいますよね」
「ああ、ちゃんと孫を連れてきたのね」
「…お孫さん、ですか」
「そうよ、さっき若い子にスーパーへ迎えに行かせたの」
「なんでお母さんがいるのにお迎えを?」
「なんでって、嫁のほうが『下の子が急に具合悪くなって病院行きたいから、マイを迎えに来てほしい』って電話してきたのよ」
「いや、でも、お嫁さん、必死になって捜してますよ」
「マイちゃんいないよ」
「さっきいるって言ったじゃない。…って何、この小さい犬」
「ここにいるのマユちゃん」
「誰よマユちゃんって」
「マイちゃんとマユちゃんまちがえたとおもうよ」
「「「…はあああ???」」」

マイちゃんのおばあちゃんは60代とは思えない脚力で工場までつっ走って行ったかと思うと、10秒後に、
「何やってんのあんた達!!!」
という怒号が聞こえました。

間もなくマユちゃんは無事保護されました。連れ去った若い社員は、マユちゃんに「ね~君マィちゃん~?」と少々ぞんざいに聞いたところ「うん」と答えたため本人だと思い込み、そのまま連れてきてしまったとのことでした。ちなみにマイちゃんの方は、なかなか来ない義母に母親が業を煮やし、一緒に病院へ行っていたことがわかりました。
「あらやだ、嫁から留守電入ってたわ」
「なんでご自分で迎えに行かなかったんですか」
「だって腰が痛かったんだもの。大体、社長の孫を社員が間違えるなんて思わないでしょう」
腰が痛いとは思えない先程の走りと、一度しか会ったことのない2歳の女の子の顔を覚えている人間がどれだけいるかと怒鳴りたい気持ちを押さえ、事情聴取は続けられましたとさ。

めでたしめでたし。



ちなみに社長である旦那さんはしっかりした人ですが、
婿入りのため自分勝手な奥さんに強く言えず、
マユちゃんを連れて来た若い社員は、
マユちゃんが大好きな保育園のタカヒロ先生に似ていた、
という裏設定もあったりします。
おわり。
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職業(その23・前編) 

今日は五豆を初めてよそのお家へ連れて行ったのです。
そのお家には生後5か月のトイプードルがいるのですが、
既に五豆(8か月)よりだいぶでっかかったです。
ちなみに、
五豆がしきりと乗っかられつつも、いいお友達になれました。

さて、今日は土曜恒例連続企画、「いぬじが〇〇だったら」の日です。
職業図鑑の上から順に毎週違う仕事をいぬじにやらせていくという、いわゆる『もしもシリーズ』です。
今日の職業は、『警察官』です。

先週「けいびいん」なのに今週「けいさつかん」じゃアイウエオ順になってないじゃないか、と思われたと思いますが、
間違えました。
素直に心から謝罪いたします。

そして、せっかく警察官というちょっと面白そうな展開になる職業ですので、二夜連続でお送りしたいと思います。

好きなんです、刑事もの。
書いてみたかったんです、長めのやつ。

それではいぬじの警察官ぶりをとくとご覧くださいー。


いぬじが警察官になって1年。
とある小さな町の交番で、日々住民の安全のために頑張っています。
そう、リアル【いぬのおまわりさん】です。
実際、何かとよく困っています。

酔っぱらいのケンカなどはあるものの、普段はいたって平和なこの町に、ある日大事件が起こりました。
ママと一緒にスーパーに来ていた2歳の女の子が、行方不明になってしまったのです。

ママが本日の特売品に1分ほど目を奪われている間に、娘のマユちゃんがいなくなりました。店員さんと一緒にスーパーの中と駐車場を探し回りましたが見つかりません。監視カメラの映像を確認すると、なんと、マユちゃんが若い男に手を引かれて駐車場から出ていく姿が映っていたのです。
店長は大急ぎで110番し、いぬじにもスーパーへ駆けつけるよう本部から連絡が入りました。

自転車で巡回中だった先輩警官の岩本さんもいぬじとほぼ同時に到着しました。町には緊急配備が敷かれ、検問の準備も始まりました。
マユちゃんが車に乗せられていない限り、子どもを連れてそう速くは動けないはずです。バス会社やタクシー会社からも、それらしい二人連れは乗せていないと連絡がありました。
そう、今こそ犬であるいぬじの本領発揮の時、
人間の100万倍と言われる嗅覚で地面に残されたマユちゃんの匂いを追う、
…のは、無理です。
あくまで人間と同じ巡査であって、警察犬のような足跡追及の訓練は受けていないのです。
「あいつ、犬の癖に役に立たないなー」
という空気が流れていたことに、いぬじは全く気付いていませんでした。
その時いぬじは、「マ~~ユちゃ~~~~ん」と名前を呼びながら普通に捜していました。

捜索は30分続きましたが、全く手がかりがありません。昼間は人通りが少なく、目撃者が見つからないのです。
とうとう警察犬の出動が決定し、数十分後、シェパードのダリア号が到着しました。
「あ、ダリアちゃんだ」
いぬじとダリアが会うのは二度目です。ダリアはこれまで何度も事件解決に貢献し、表彰されたこともある大変優秀な警察犬です。
「こんにちは、ダリアちゃん」
「あら、いぬじ君、久しぶり」
「ねえいわもとさん、ぼくもダリアちゃんといっしょにいっていい?」
「ん?ああ、いいぞ、色々教えてもらえ」
「うん」
ダリアはマユちゃんのハンカチの匂いを覚え、スーパーから追跡を開始しました。いぬじはその数m後ろから着いていきます。

スーパーから400mほど進み、車止めのある歩道に入って少し歩いてから、ダリアが立ち止まりました。
「どうした、ダリア」
訓練士の北山さんが声を掛けますが、ダリアは動こうとしません。
「ダリアちゃん、どうしたの」
「…匂いが、途切れちゃったの」
「ふしぎだね」
「ええ」
ダリアは顔を上げ、辺りの空気も嗅いでみましたが、あいにくその日は風が強く、マユちゃんの匂いはもう残っていませんでした。

-つづく-



さあ、どんな展開になるでしょう。
まあいぬじですので、あまり期待してはいけませんが、
とりあえず、明日をお楽しみに。
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職業(その22) 

さっきから、また昨日の動画のようにしし豆が全力で甘えているのです。
座椅子にだらりと座ってノートPCに向かう私のお腹の上に乗ったり降りたりしているので、苦しいのはもちろんのこと、こちらに背中を向けた状態で腹の上に立たれると、
目の真ん前に尻穴が(略)

さて、今日は土曜恒例連続企画、「いぬじが〇〇だったら」の日です。
職業図鑑の上から順に毎週違う仕事をいぬじにやらせていくという、いわゆる『もしもシリーズ』です。
今日の職業は、『警備員』です。

…え?大丈夫?
という総ツッコミが聞こえてきそうですが、まあいつもなんとかやってますので、とりあえず生温かい目で見守りつついってみましょー。


いぬじが警備員として働き始めて丸一年。
一年前、いぬじから警備員になりたいと聞いたかーちゃんは、「根っからのビビりに勤まるわけないがな」と反対したのですが、「ぼくがんばる」と決して折れないいぬじに、「そこまで言うならやるだけやってみ」と仕方なく折れました。
ちなみになぜそこまでいぬじは警備員になりたがったかと言うと、
散歩中に見かけた交通誘導の警備員さんが、いつもおやつをくれる近所のおばちゃんと立ち話をしていたからです。
警備員になれば、仕事中にもおばちゃんからおやつをもらえると思ったのです。

さて、今いぬじが働いているのは、とあるオフィスビルです。
本当は交通誘導をしたかったのですが、「小さすぎて運転手から見えない」という理由で外されてしまいました。配属が決まった時いぬじはとてもがっかりしましたが、ビルのトイレ清掃のおばちゃんがおやつをくれるようになったので、毎日元気に働いています。

いぬじの働くオフィスビルは7階建て、5つの会社が入っており、働いている皆さんとももうすっかり顔なじみです。
警備は二人一組で、定年退職後再就職した62歳の沢田さんとよく一緒になります。幸い沢田さんは犬好きなのでいぬじをとても可愛がってくれます。
今日も定刻の16時になったので、いぬじは3回目の巡回を始めました。
沢田さんは警備室でモニター監視をしています。
まずエレベーターで7階まで上がり、そこから階段で一階ずつ降りて全てのフロアを見回ります。いぬじにはエレベーターのボタンが届かないので、ボタンを押すところまでは沢田さんが手伝ってくれます。いぬじも、そんな沢田さんが大好きです。

いぬじはいつも通り、7階から順に巡回していきました。
階段を降り、6階、5階、4階、そして3階に差し掛かったところで、3階の会社の中から、「キャーッ」という女性社員の悲鳴のような声が聞こえてきたのです。
いぬじは大急ぎで向かい、ドアを開けて「どうしました」とそばに立っていた男性社員の野口君に尋ねました。
「あ、いぬじ君、それが、…あれ」
と彼が指を差した先には、
フタ付きの藤のカゴに入った、3匹の子猫がいました。

このフロアは、広告やWebサイトに使用するための画像・映像素材を制作する会社で、風景・人物・動物など、様々な被写体を撮影して販売しているのですが、たまたまある社員が野良の子猫を保護していたので、ついでにモデルにしちゃおうと連れてきたのです。

ニャーニャー
「か~わ~い~い~~~~」
ニャーニャー
「はいよちよちよち」
ニャーニャー
「おなかすいたんでちゅか?」
と社員総出でメロメロになっているところへ、騒ぎを聞きつけた沢田さんも息せき切って走り込んできました。
「はぁ、はぁ、ど、どうしたんだ、いぬじ」
「こねこだよ」
「はぁ、はぁ、…え?」
「さんびきいるよ」
「はぁ、はぁ、な、なんだ、そうか、はぁ」
沢田さんが一安心してモニター室に戻っていこうとした時、1匹の子猫がいぬじに気付いてカゴから出て、のたのたと近づいてきました。
「ニャー」
「ぼく、しごとちゅうだよ」
「ニャー」
「いまあそべないよ」
「ニャー(ペロペロ)」
「そんなのしてもだめだよ」
すると、その様子を後ろから見ていた沢田さんが、
「撮影はこれからかい?」
と野口君に聞くと、
「え、ええ、そうです」
「猫限定かい?」
「…いえ、そういうわけではないですけど」

30分後、子猫に囲まれ少し困ったような顔でカメラを向けられるいぬじの姿がありました。
【子猫に懐かれる犬】という名前で販売されたその素材は、会社創業以来最も売れた写真になりました。
めでたしめでたし。


いぬじは実際、嫌々ながらも
よく子猫時代の三豆の相手をしてやっていました。
その調子で五豆の面倒もみてくれると思いましたが、
希望はもろくも崩れ去りました。
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