職業(その54) 

最近ちょっと忙しく、疲れがたまっております。
そう言えば、疲れ過ぎてここ1週間、疲労回復用のサプリを飲むのを忘れていました。
あかんがな。

さて、今日は土曜ですので土曜恒例「いぬじが〇〇だったら」をやります。
職業図鑑の上から順に毎週違う仕事をいぬじにやらせていくという、いわゆる『もしもシリーズ』です。
今日の職業は、『眼鏡屋さん』です。

私もメガネのお世話になって20年以上、すっかり顔の一部になりましたが、
たまにコンタクトにすると、
「こんなに汚い顔だったのか」
と愕然とします。
もうメガネなしでは生きられない。

それでは気を取り直していってみましょー。


いぬじが町のメガネ屋さんで働き始めて1年半。
いぬじ自身はメガネが必要ないので最初は分からないことも多かったのですが、店長が丁寧に指導してくれたおかげで、どのような注文でも問題なく対応できるようになりました。

いぬじのメガネ屋さんではコンタクトを扱っていませんし、またメガネ1本が最低でも2万円以上と、決して安くもありません。そこでお客さんの対応に十分時間をかけ、納得のいく1本を作ることで、安定した経営を維持しています。
特に高齢者のリピーターが多く、「ここのメガネは長時間かけていても全然疲れないし、フレームも長持ちするので2万でも全然高いと思わない」と、クチコミでも評判が広まっています。
ネットのクチコミではなく、本当のクチコミです。
侮りがたし、お年寄りネットワーク。

さて、今日のお客さんは、増沢浩輔さん(44歳)です。
リアルクチコミを聞いた70代のご両親に聞いてやってきたのです。
普段から眼鏡を使用しているものの、最近掛けていても近くの字が読みにくくなってきたため、これはもしや老眼が始まったのではないかと思い、来店されました。
「ますざわさま、めのけんさをしますのでこちらへどうぞ」
いぬじは検査器で目の状態を検査していきました。
そして、その結果、
「ろうがんがはじまっていますね」
「…やっぱりそうですか」
「ろうがんせんようとえんきんりょうようのにしゅるいがありますがどうなさいますか」
「どっちの方がいいんですかね」
「えんきんりょうようは40だいのうちにかけはじめてめをならしておいたほうがいいです」
「そうなんだ、じゃあ遠近両用にします」
「しょうちしました」
その後フレーム選びやレンズ調整、実際に掛けた時の使い方などを説明し、
「さいしょはすうじゅっぷんからすうじかんずつかけてならしてください」
「どれくらいで慣れるかな」
「こじんさがありますのでごじぶんのぺーすですこしずつかけるじかんをふやしていってください」
「わかりました」
「おしあがりはいっしゅうかんごになります」
「じゃあまた来週日曜に来ます」
「そのほかになにかごしつもんはございますか」
「あ、えーと、あの、ずっと聞きたかったんだけど」
「はいなんでしょう」
「君、犬だよね」
「はい、いぬです」
「犬用のメガネって存在するの?」
「いぬようのはないです」
「あ、やっぱりないんだ」
「いろつきのごーぐるならあります」
「へえ、サングラスの代わりか。度付きのもあるの?」
「どはついてないです」
「じゃあやっぱりファッション用なのか」
「それもありますがおもにしがいせんぼうしようです」
「犬も紫外線ダメなの?」
「はい、はくないしょうのげんいんにもなります」
「あー、昔飼ってた犬も年取って目が真っ白になったな」
「そうでしたか」
「あのさ、今飼ってる犬が7歳なんだけど、やっぱり白くなるかな」
「なるかのうせいはあるとおもいます」
「そうだよねえ、今からゴーグルに慣らしといた方がいいかもな」
「そうですね」
「俺も老眼、犬も老化現象、眼鏡もゴーグルも一緒に仲良く慣れていきましょう、だな」
「すてきです」
「念のため聞くけど、ゴーグルってここでも売ってるの?」
「すみません、うちではとりあつかいがないです」
「あはは、やっぱりないよね、じゃあネットで探して買うよ」
「あの、ちょっとまっててください」
「え?あ、うん」

いぬじは店長に近づき、これまでの話の内容を説明しました。
そして5分後、お客さんのところへ戻ってきました。
「うちでもあつかうことになりました」
「えっ、そうなの」
「はい、こんどわんちゃんつれてきてください」
「いや、でもゴールデンだよ」
「おみせのなかまではむりなんですが、そちらのやねのしたにすぺーすをつくっておきます」
店長は早速3サイズ、各4色を発注して販売を始めました。外に雨風と暑さ寒さがしのげる試着スペースも用意しました。増沢ルーク君はぴったりのゴーグルを買ってもらい、みんなに「かっこいい」と褒められてご機嫌で帰っていきました。
その後も、以前からゴーグルに興味のあった飼い主さんが次々と来店されました。
装着すると最初は鬱陶しそうにする子も多かったのですが、いぬじが「すぐなれるのでちょっとのあいだがまんしてください」「けっしていやがらせとかではないのです」とゴーグルを着ける理由までワンちゃんに直接伝えられるので、飼い主さんも「せっかく買っても着けてくれないっていう心配がない」と安心して購入して行かれます。
そのうち、わざわざ遠方からゴーグルを買いに来る人まで出てくるほどになり、店長はもうひとつ取扱いブランドを増やしましたとさ。
めでたしめでたし。


いぬもいぬじもゴーグル経験者(犬)で、
二匹ともわりとおとなしく着けさせますが、
五豆は、
…嫌がるやろなあ…。
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職業(その53) 

なんだか気温が上がったり下がったりで困ります。
夜は冷えるという話を何度かしましたが、こないだ本当に寒かったので長袖Tシャツから薄手のトレーナーに着替えて寝たところ、
朝、寝汗びっしょりでした。
だいぶ後悔しました。

さて、今日は土曜ですので土曜恒例「いぬじが〇〇だったら」をやります。
職業図鑑の上から順に毎週違う仕事をいぬじにやらせていくという、いわゆる『もしもシリーズ』です。
今日の職業は、『マンガ家のアシスタント』です。

子どもの頃、一度は憧れるマンガ家。
そしてそのマンガ家になる前に多くの人が通るアシスタント。
そのままプロのアシスタントになる人もいるそうですね。
いぬじはそのパターンだと思います。
あまり欲がないのでそれで十分満足だと思います。

では本文をどうぞ―。


いぬじがマンガ家のアシスタントになってもうすぐ半年。
連載中の少年週刊誌の人気ランキングで『中の上』の順位を維持している、なかなか人気のマンガ家さんについています。
ただ、1位になったことはないのです。
いぬじは先生のそんなところも好きです。
ちなみにページ数が一般的なマンガより少なめなので、アシスタントはいぬじひとりです。

マンガの内容としては、少年誌の王道、学園ものです。
といっても、日本の中学や高校ではなくファンタジーの世界の学校です。魔法は使えませんが、グッズを使えば魔法的なこともできます。要するに何でもありです。
ケンカのシーンはあるものの、殴る蹴るはギャグ程度の描写で、もちろん卑怯ないじめなどは皆無です。次の号では何事もなかったかのように仲直りして、また別のストーリーが始まります。
学生の読者には刺激が少なく物足りないようですが、社会人層からは「安心して読める」「仕事で疲れた後の癒しになる」「この予定調和がいい」「少年マンガの水戸黄門」と安定した人気を獲得しています。
暴力的なことが苦手ないぬじはこういう作品を描ける先生のそんなところも好きです。

さて、今描いているお話は、主人公のクラスに転校生がやって来るという展開です。
編集者に「ちょっとマンネリ化してきたからキャラ増やそうか」と言われたのです。
どういうキャラクターにするかいぬじも一緒に考え、最終的に「異国からやってきた長い黒髪のサムライ」に決定しました。
主人公の国は金髪や赤い髪や青い髪をしている人はいるものの、黒髪はまだ出していなかったのでわりとすんなり決まりました。新キャラの所作や考え方は江戸時代の武士そのもの、詫びる時はすぐ切腹しようとして主人公に止められます。
ちなみにメインメンバーを説明しておくと、正義感が強くフットワークのいい主人公、その親友の男の子が二人、ひとりは180㎝85kgのマッチョな柔道4段、もうひとりはインテリイケメンの剣道4段、そして毎週サービスショットを見せてくれるヒロインの4人です。それに時折脇役メンバーが登場します。
お気づきかもしれませんがほぼ水戸黄門です。

そこへ新たに登場した純和風キャラですが、初登場の今回で、「彼が仕える主(あるじ)的メンバーを固定する」ということになりました。つまり、主要メンバー4人のうち、「絶対に言うことをきく殿のような存在」を置いておくことになったのです。
きっかけはやはり、新キャラ(カゲマサ)を助けたこと。
転校前に街を歩いていたカゲマサがガラの悪い男たちにからまれていた時、遠くから「キャーッ!ポリスを呼んでー!」と叫び声を上げたヒロインが「殿」になりました。
実際はヒロイン自身がひったくりに遭ったために叫んだのですが、カゲマサは自分のためにそうしてくれたのだと勘違いした、とこれまた予定調和な展開です。
そしてヒロインのことを好きな主人公の言うことは全く聞かない、という設定も足されました。
また、ヒロインのサービスショットに鼻血を出して卒倒する(そのためピンチの時に時々役に立たない)、という設定も足されました。

いぬじは日本犬なので、カゲマサを描くのはとても楽しく、またご主人に忠実に仕えるところにも親近感が湧き、これまで以上に筆が進みました。先生が「そんなにカゲマサが好きならいぬじみたいな犬を飼うことにしようか」と、いぬじそっくりな小型犬をさらに追加で増やしてくれました。
ちなみにこの犬、カゲマサにはとても従順ですが、頭の方はやや足りず、やはりピンチの時には一目散に逃げて役に立たないという設定がスラスラ決まりました。

その号が載った週のランキングは、その前の週よりふたつ上がって5位になりました。
二週後にはまたいつも通りになりました。
めでたしめでたし。


このマンガ、読みたくなってきました。
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職業(その52) 

9月も終わりですね。

ということは、2017年もあと3か月しかないわけです。
4分の3が終わってしまったのです。
まさに光陰矢の如し。
こわ。

さて、気を取り直しまして、今日は土曜ですので土曜恒例「いぬじが〇〇だったら」をやります。
職業図鑑の上から順に毎週違う仕事をいぬじにやらせていくという、いわゆる『もしもシリーズ』です。
今日の職業は、『訪問介護員』です。

いわゆるホームヘルパーさんです。
ん?前もやらなかったっけ?
と思われた貴方、さすが素晴らしい記憶力です。
そうです、その14で「介護ヘルパー」という職業として採り上げましたが、あの回が大変評判が良かったので、ここに晴れて復活です。
あの兄ちゃんもまた出てきますよ。

それでは張り切ってはじまりはじまりー。


いぬじが訪問介護員になって早一年。
特に資格を持たずに始めた仕事でしたが、営業所の所長の勧めで頑張って勉強し、無事介護職員初任者研修を終えました。
時々、いやかなりの割合でテキストの漢字が読めませんでしたが、同じ営業所の先輩スタッフ、神田さん(女性・53歳)が読めない漢字に全部平仮名を打ってくれたお蔭で家でも勉強が進められました。
ちなみに平仮名を打ってもらう前にかーちゃんに読み方を聞いたところ、2つめまでは教えてくれましたが、3つめで「はい」と漢和辞典を渡されました。
休憩中にもたもためくっていたら神田さんが手伝ってくれました。

さて、本日最後の訪問先は、今日で二回目の本山さんという夫婦二人暮らしのお宅なのですが、実はいぬじ、ここのご主人がちょっと苦手なのです。
声が大きく、威圧的で、訪問初日は玄関でいぬじを見るや否や「おい、なんだ、お前犬か」「犬に仕事が勤まるのか」「昔飼ってた犬が何にもできないバカでなあ」とまくし立てたのです。
逆に奥さんはとても優しい人で、「ごめんなさい、酷いことを」とすぐ謝ってくれたのですが、「本当のことを言って何が悪い」と今度は奥さんに怒り始める始末。
隣りで聞いていた相棒のサトル君もさすがに切れそうになって「おいおっさん」と言いかけたのですが、いぬじが「はいほんとうのことです、でもむかしのいぬさんはばかじゃないとおもいます」とかぶせるように言ったので、なんとか事なきを得ました。
その日はご主人がそのまま散歩に出かけたのでそれ以上のことはありませんでしたが、今後大丈夫だろうかといぬじは少し心配になりました。
サトル君が本気で切れやしないかと。

今日の話に戻りましょう。
本山さんの家に向かう途中の車の中で、サトル君がいぬじに話しかけました。
「なあいぬじ、あのおっさん、今日はずっと家にいるつもりかね」
「どうかなあ」
「またどっか出掛けてくれるといいんだけどよお」
「でもこれからあめがふるよ」
「そうなんだよなあ、パチンコとか行ってくんねえかなー」
「きんじょにぱちんこやさんないよ」
「車の運転もやめたって奥さん言ってたしなあ、…あー着いちまった」
サトル君はあからさまに渋々車を降りてチャイムを押し、インターホンに向かって「どーもー、ぐーちょきヘルパーステーションから来まっしたー」と声をかけたのですが、5秒ほど待っても返事がありません。サトル君はもう一度チャイムを鳴らして同じようにもう少し大きな声で声を掛けましたが、やはり応答がないのです。
「んだよ、留守かよ」
サトル君は一階の窓を覗こうとしましたがカーテンが閉まっていて全く見えません。
「いぬじ、帰るぞ」
「まって」
「…あ?」
「だれかいるよ」
「でも誰も出ねえじゃねえかよ」
「こえがきこえるよ」
「…全然聞こえねーけど、やっぱ犬には聞こえんのか」
「うん、なんかうーうーいってる」
「…マジかよ」
サトル君はさらにチャイムを連打しましたがやはり誰も出ません。
「…あーークソ、めんどくせー!」
サトル君は窓に回ってガンガン叩きながら「おい、おっさん!いるんだろ!返事しろよ!!」と怒鳴りました。
「さっきよりうーうーがちょっとおおきくなったよ」
「おっさん、修理代とか請求すんなよ!!」
サトル君が花壇のレンガをひとつ手に持つと、窓のロックの近くにぶつけて割り、手を入れて鍵を開け家の中に飛び込みました。

「おっさん!どこだ!!」
「こえ、こっちからだよ」
サトル君といぬじがキッチンの方へ走っていくと、頭から血を流してご主人が倒れていたのです。
「おい、おっさん、しっかりしろ!!」
「きゅうきゅうしゃ、よんだよ」
「奥さんどうしたんだよ!!」
「…家内は、義姉の見舞いで、帰りの、電車が、遅れて」
「わかった、わかったからもう喋んな、おっさん絶対動くなよ、いぬじ、使ってねえタオル!!」
「はい」
「お前これでここ強く押しとけ、俺は奥さん駅まで迎えに行ってくっから、病院分かったら電話しろ!」
「うんわかった」

10分ほどで救急車が到着し、いぬじも同乗して一緒に病院へ行きました。20分後にサトル君と奥さんも到着し、検査の結果命に別状はないことがわかってようやく3人で胸を撫で下ろしました。
「しっかり圧迫止血してくれたおかげですよ」
お医者さんがそう奥さんに伝えると、奥さんはいぬじとサトル君に今日20回目の「本当にありがとうございました」を言いました。

ご主人は、二人が家に来る前にお茶の準備をしておこうとキッチンに向かい、足を滑らせて転倒してしまったのです。幸い手をしっかりついたので脳の損傷は大したことはありませんでしたが、頭だったため出血量が多かったのです。
手際のいい応急処置にお医者さんも驚いていたのですが、なぜサトル君が冷静に対処できたかというと、いわゆる、昔取った杵柄でした。
ヤンチャをしていた時代に何度かチームの抗争があり、その時に身に着けた知識と技でした。

その後、ご主人の声の大きさは相変わらずでしたが、「この人、美味しく入れられるよう練習したんですよ」「バカもん、言うんじゃない」と話していた通り、ちょっといいお茶を用意して二人の訪問を待つようになりましたとさ。
めでたしめでたし。


本当にこの職業は筆、いやキーボードが進みます。
また評判が良ければ続きもやりたいと思います。
ちなみに本山さん夫婦は大恋愛の末に結婚という設定です。
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職業(その51) 

今日は3匹連れて久し振りにちょっと遠出してきました。
その模様は明日(か明後日辺り)にご報告するとして、
今日は土曜ですので土曜恒例「いぬじが〇〇だったら」をやります。
職業図鑑の上から順に毎週違う仕事をいぬじにやらせていくという、いわゆる『もしもシリーズ』です。
今日の職業は、『保育士』です。

たまには前振りが短い日があってもいいんじゃないかと思いました。
あっさりしていていいもんですね。
ではいってみましょー。


いぬじが保育士になってもうすぐ2年。
と言っても、人間の子どもではなく、子犬を預かる仕事です。
近い月齢の子犬同士を遊ばせながら、必要な社会化やしつけを一通り行っています。当然のことながら、「愛犬の気持ちをよくわかってくれる犬の先生」と飼い主さんにも評判です。
この保育園は、生後3か月から大体半年までの子犬を預かっています。ちなみにセントバーナードなどの超大型犬は入園した時点でいぬじだけでは抑え切れませんので、人間のスタッフさんにお任せしています。

さて、今いぬじが担当しているのは計6匹。トイプードルが2匹、チワワが1匹、柴犬が1匹、ゴールデンレトリーバーが1匹、中型のミックス犬が1匹です。ゴールデンのモカちゃんはまだ生後3か月なので、他の小型犬たちと一緒に遊ばせています。
この中ではトイプードルの1匹、ココアちゃんが生後半年で一番年長、続いてチワワのケンケン君が生後5か月、ミックスのさくらちゃんともう1匹のプードルのデール君が生後4か月半、柴犬の桃太郎君が生後4か月、という年齢になっています。
みんな仲良しでケンカすることもなく、毎日保育園に来るのを楽しみにしています。
けれど、ココアちゃんがいよいよ来週卒園することになりました。卒園していく子にはお祝いのプレゼントを渡すことになっているので、いぬじはその準備を始めました。

プレゼントはいつも、担当保育士の手作りのおもちゃとおやつです。
いぬじはこれまで20匹以上の卒園をお祝いしてきましたが、今回のココアちゃんの卒園はこれまで以上に感慨深いものがありました。というのも最初の頃、ココアちゃんがなかなか保育園になじめなかったからです。
生後3か月で入園する子は、初日こそ戸惑ってはいるものの、すぐに他の子となじんで仲良くなれます。ココアちゃんもワクチンが終わってすぐに入園してきました。いぬじはすぐ輪に入れるだろうと思っていたのですが、とても怖がりで、飼い主さんが持ってきたキャリーバッグから全然出ようともしなかったのです。結局、初日は一日キャリーの中で過ごしました。

次の日も、その次の日も、ほとんどキャリーの中にいました。おしっことウンチだけは出てきて隅の方で済ませたのですが、終わるや否やキャリーにとんぼ返りです。いぬじは無理に出そうとせず、自分から出られるまで待とうと思いました。
ただ一人ぼっちにしておくのは可愛そうなので、手が空いている時はできるだけそばにいてあげるようにしました。

入園5日目。
今日出てこなかったら、明日明後日は週末でお休みです。そうなるとまた月曜日、きっと出てこられなくなってしまうでしょう。いぬじはさすがに今日は多少強引にでもキャリーから出る時間を増やそうと思っていました。
その日もやっぱりココアちゃんは午前中キャリーの中で過ごしました。いぬじは次にトイレに出て来たら、その間にキャリーをテーブルの上に上げてしまおうと考えていました。
そして、いよいよココアちゃんがおしっこをしたくなる時間が迫って来た時、
先輩犬の1匹がココアちゃんに近づいてきたのです。

その子はヨークシャーテリアのミントちゃん、当時生後7か月でした。
本来なら1か月前に卒園するはずだったのですが、共働きの飼い主さんの仕事が急に忙しくなり、1か月延長になったのです。
「いつもそこにいるね」
ミントちゃんはココアちゃんに話しかけました。
「いぬじせんせいをひとりじめばっかりしてるね」
ミントちゃんは続けてそう言いました。ココアちゃんは怖がって何も言えません。その時いぬじは、うんちを踏んづけてしまったカンタ君の足を拭いていました。
「いつまでかばんにはいってるの」
「せんせい、こまってるのわからないの」
「みんなとあそばないといけないんだよ」
ミントちゃんは次々にココアちゃんに厳しい言葉を投げかけます。
とうとうココアちゃんの目から涙がこぼれ落ちました。
そこへ、ようやく足を拭き終えたいぬじがやってきました。
「みんとちゃんどうしたの」
「ううん、せんせい、なんでもないの」
「でもここあちゃん、ないてるよ」
「めにけがはいったんじゃないの」
「ここあちゃん、かなしいの」
「せんせい、ここあちゃんばっかりかまってずるい」
「みんとちゃん、ごめんね」
いぬじがミントちゃんに謝った、その時です。
「せんせいは、わるく、ない」
ココアちゃんがとても小さな声でそう言いました。
「わたしが、ずっと、ここに、いるから」
消え入りそうな声でそう言うと、また黙ってしまいました。
「もういい、わたしあそんでくる」
ミントちゃんは皆の方へ走っていきました。
「ここあちゃん、ほいくえん、きらいですか」
「…」
「みんなとあそぶの、だめですか」
「…」
「ぼくとあそぶのも、だめですか」
「…びたい」
「なんですか」
「あそびたい」
「ぼくとですか」
「せんせいも、みんなも」
「わかりました」
いぬじは、一番遊ぶのが上手な生後5か月のマルチーズのちーちゃんを連れてきました。
ちーちゃんは、「ほんとはまえからこえかけたかったの」とココアちゃんを誘ってくれました。しばらく2匹で挨拶をすると、ようやくココアちゃんが笑顔になりました。

1週間後。
ココアちゃんはみんなと仲良く遊べるようになっていました。ミントちゃんは無事3日後に卒園が決まり、翌日お別れ会をすることになりました。
「ここあちゃん」
ミントちゃんがココアちゃんを呼び止めました。
「こないだ、ごめんね」
「ううん、わたしのせいだもん」
「ママがね、せんげつからもっとおうちにいてくれるっていってたのに、なしになっちゃったから、ちょっといじわるしちゃったの」
「あしたからはいっぱいいっしょにいられるの」
「うん」
「よかったね」
「ありがとう」
「おわかれだね」
「うん、げんきでね」
「うん、ここあちゃんもね」
いぬじはミントちゃんに、ミントちゃんが大好きなバナナの形をしたおもちゃを贈りました。

話は現在。
ココアちゃんのお別れ会が終わる頃、いぬじはココアちゃんに手作りのおもちゃを渡しました。
それは、ミントちゃんにあげたのとそっくりな、バナナのおもちゃでした。
おやつのクッキーには犬の顔っぽい何かが描かれていましたが、よくわからないのでいぬじに尋ねると、
「ほいくえんのみんなのかおです」
と言われました。
バナナ味でわりと美味しかったです。
おしまい。


今日は(リアルで)4ケ月のボルゾイの子犬ちゃんに会いました。
ふわふわで可愛かったです。おわり。
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職業(その50) 

せっかくの連休だというのに、台風直撃ですね。
まあ我が家は特に予定もなかったので大した影響はありませんでしたが、アウトドアイベントを控えていた皆様にとっては本当にがっかりな天気になってしまいました。
来週は連休ですらないですし。
と言っても私は来週も特に予定はないんですが。

さて、今日は土曜ですので土曜恒例「いぬじが〇〇だったら」の日です。
職業図鑑の上から順に毎週違う仕事をいぬじにやらせていくという、いわゆる『もしもシリーズ』です。
記念すべき50回目の今日の職業は、『ペンションスタッフ』です。

最近行ってないなあ、旅行。
とぼやいていてもしょうがないのでいってみましょー。


いぬじがペンションスタッフとして働き始めて丸2か月。
忙しい夏の間だけの臨時アルバイトに応募したのですが、コツコツ働く仕事ぶりをオーナーに気に入ってもらえ、今後も連休などにちょくちょく入ることになりました。
本当は住み込みの募集だったのですが、ずっと家に帰れないのは寂しかったので、毎日かーちゃんに車で45分かけて送ってもらっています。
かーちゃんも4時半起きです。

さて、夏休みも終わり、このペンションアカシアもそろそろお客さんが減り始めました。元々全部で6室の小さなペンションなので夏は毎日満室になるのですが、9月になるとやはりぽつぽつと空室が出てきます。
今日からの3連休はまた満室ですが、来週は祝日が土曜と重なり普通の週末になってしまったので、まだ一部屋空きがあります。
「いぬじ君、来週はお休みでいいよ」
オーナーの永田さんが午後の休憩中にいぬじに言いました。このペンションは50代の永田さん夫妻が経営していて、繁忙期以外で忙しい時は近所の阪本さん(60代女性)が手伝いに来ます。この夏はいぬじの他にもうひとり住み込みの学生アルバイトさんがいたのですが、8月末で帰りました。
「さかもとさん、くるんですか」
「満室になったら頼もうと思うけど、ならなかったら僕らだけで大丈夫だから」
「ながたさんもずっとおやすみないです」
「ハハハ、夏は元々そういうものだからね。これからは平日暇になるから大丈夫」
「じゃあぼくらいしゅうおやすみします」
「うん、ゆっくり休んできて」
はい、といぬじが返事をしようとしたその時でした。
「えー、今頃ー?!」
事務室の方から奥さんの声が聞こえてきました。
「どうした?」
永田さんが事務室に向かいながら尋ねます。
「今日来るお客さんからついさっきメールが来たんだけど、牛肉アレルギーなんですって」
「そうか、じゃあ今日のメインを変えないといけないなあ。カジキ、予備はあるだろ」
「うん、でも、…魚は苦手って書いてある」
「うーん、じゃあ鶏か…、そのお客さん、連泊?」
「うん」
「じゃあ明日の鶏は回せないなあ、どうしたもんかなあ」
「ぼくならとりにくなんにちつづいてもいいです」
「ハハハ、いぬじは好き嫌いないもんなあ」
「でも本当、どうしましょうね」
「ねえちゃんはやさいもだいすきです」
「…そうか、野菜か、なあ純子、今から沢井さんに頼めないか」
「え、ええ、電話してみるわ」
沢井さんというのは近くで野菜を作っている農家のご主人です。永田さんはいつも沢井さんから採れたての野菜を買っているのです。
「はい、ええ、え、いいんですか、はい、はい、すぐ行きます」
奥さんは電話を切ると、
「カボチャとトマトとズッキーニのいいのが残ってるんですって」
「そうか、だったらグラタンでいけそうだな」
「べーこんとちーずはいっぱいあります」
「ええ、じゃあ行ってきます」
その後、無事野菜のグラタンが完成し、お客さんにも喜んでもらえました。他のテーブルのお客さんも「なんか、あれもすごいおいしそうだね」とチラチラ見ていました。
それから、アレルギー対応食として野菜のグラタンは正式にメニューに追加されました。

いぬじは余ったカボチャをお土産にもらって、次の週末のおやつにかーちゃんにゆでてもらい、ねーちゃん共々ご満悦でした。
めでたしめでたし。


実際に家から車で45分の所にはペンションはないです。
野菜のグラタン食べたい。
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