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 2017年03月 

職業(その23・後編) 

昨日より二夜連続でお送りしております、
『いぬじが警察官だったら』。

刑事ドラマが好きで推理小説もそこそこ読んできたまめよしが、
2日も使って一体どのような話を創り上げるのか。
なんとなく予想はつくと思いますが、
(本当にちゃんとまとまるのか)ドキドキしながら続きをどうぞー。


忽然と消えたマユちゃんの匂い。マユちゃんは一体どこへ行ってしまったのでしょうか。
いぬじは訓練士の北山さんと先輩の岩本さんにダリアの言葉を通訳し、その場所から捜査員総出で聞き込みが始まりました。
皆が出払った後、気落ちしているダリアに、いぬじがふと尋ねました。
「マユちゃん、だっこしてもらったのかなあ」
「え?」
「ぼくも、かーちゃんによくだっこしてもらうから」
「小さいと便利ね」
「うん」
「ねえ、マユちゃんのにおいのとなりにあるにおいわかる?」
「え?…ああ、なるほど、それが連れ去った男の臭いってことね」
「うん」
「ちょっと待って、ええと、これがマユちゃんで、その横にずっとある臭いは、…これね」
「そのにおい、おえる?」
「もちろんよ」
「きたやまさん、いこう」
「え?何?ちょ、ダリア、ちょっと、おい」

ダリアはぐんぐんスピードを上げながら男の臭いを追跡しました。
そして500mほど行ったところで、
「ここよ」
と立ち止まりました。そこは、小さな町工場でした。
「よし、いぬじ、みんなに連絡してくれ」
訓練士の北山さんの言葉が終わらないうちに、
「ぼくみてくる」
いぬじはそう言って裏口の方へ駆け出しました。
「おい、いぬじ、マテ!」
ついコマンドをかけてしまった北山さんの制止も聞かず、いぬじはタタっと裏口の方へ回り、少し開いている窓を見つけました。うまい具合に窓の下にタイヤが積んであったので、その上に登って窓の中をそっと覗き込みました。
中はどうやらこの工場の事務所のようです。そこから、男二人の声が聞こえてきました。
「奥さん、遅いっすね」
「わざわざスーパーまで行けって、相変わらず人使い荒いよな」
「そろそろ仕事戻らねえと、社長うるさいだろ」
「でもこの子一人置いてって大丈夫っすか」
「大丈夫だろ、おやつやっときゃ」
いぬじは急いで北山さんの所に戻って状況を伝え、岩本さんにも連絡を入れました。
5分ほどして、岩本さんと他の捜査員が工場に到着しました。
「いぬじ、本当にマユちゃんがいたのか」
「うん、おかしたべてたよ」
「犯人は二人なんだな」
「うん、もういっかいみにいったけどふたりだったよ。マユちゃんはおいしそうなおかしたべてたよ」
「武器は持ってたか」
「ううん、すまほいじってたよ。マユちゃんはおかしいっぱいたべてたよ」
「よし、突入準備!」
「おかし」

と、そこへ、60代くらいの女性が工場へ入っていこうとしました。
「ちょっと、奥さん」
「あんた達何よ、ひとの工場の前で」
「あなた、ここの方ですか」
「社長は主人だけど。私は専務」
「ここに、若い男性と小さい女の子がいますよね」
「ああ、ちゃんと孫を連れてきたのね」
「…お孫さん、ですか」
「そうよ、さっき若い子にスーパーへ迎えに行かせたの」
「なんでお母さんがいるのにお迎えを?」
「なんでって、嫁のほうが『下の子が急に具合悪くなって病院行きたいから、マイを迎えに来てほしい』って電話してきたのよ」
「いや、でも、お嫁さん、必死になって捜してますよ」
「マイちゃんいないよ」
「さっきいるって言ったじゃない。…って何、この小さい犬」
「ここにいるのマユちゃん」
「誰よマユちゃんって」
「マイちゃんとマユちゃんまちがえたとおもうよ」
「「「…はあああ???」」」

マイちゃんのおばあちゃんは60代とは思えない脚力で工場までつっ走って行ったかと思うと、10秒後に、
「何やってんのあんた達!!!」
という怒号が聞こえました。

間もなくマユちゃんは無事保護されました。連れ去った若い社員は、マユちゃんに「ね~君マィちゃん~?」と少々ぞんざいに聞いたところ「うん」と答えたため本人だと思い込み、そのまま連れてきてしまったとのことでした。ちなみにマイちゃんの方は、なかなか来ない義母に母親が業を煮やし、一緒に病院へ行っていたことがわかりました。
「あらやだ、嫁から留守電入ってたわ」
「なんでご自分で迎えに行かなかったんですか」
「だって腰が痛かったんだもの。大体、社長の孫を社員が間違えるなんて思わないでしょう」
腰が痛いとは思えない先程の走りと、一度しか会ったことのない2歳の女の子の顔を覚えている人間がどれだけいるかと怒鳴りたい気持ちを押さえ、事情聴取は続けられましたとさ。

めでたしめでたし。



ちなみに社長である旦那さんはしっかりした人ですが、
婿入りのため自分勝手な奥さんに強く言えず、
マユちゃんを連れて来た若い社員は、
マユちゃんが大好きな保育園のタカヒロ先生に似ていた、
という裏設定もあったりします。
おわり。
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