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職業(その38) 

ようやく今夜から梅雨らしい天気になるようです。
明日は友達と会うのでもちろん降らない方がありがたいと言えばありがたいのですが、ここまで晴れ続きだとかえって雨の方がいい気すらしてくる空梅雨ぶりです。
紫外線の量も減りますし。

さて、今日は土曜恒例「いぬじが〇〇だったら」の日です。
職業図鑑の上から順に毎週違う仕事をいぬじにやらせていくという、いわゆる『もしもシリーズ』です。
今日の職業は、『テーマパークのスタッフ』です。

子どもの頃一度は憧れたという人も多い遊園地でのお仕事、
いぬじはどんな働きぶりを見せるでしょうか。
でははじまりはじまりー。


いぬじがテーマパークで働き始めて早2年。
決して規模は大きくありませんが、昔から地元で愛されており、家族3代で通っているというお客さんも珍しくない遊園地です。
一時は閉園の危機にも直面しましたが、その当時の園長の奇抜な発想により無事乗り切り、今では安定した来場者数を記録しています。
ちなみに奇抜な発想のひとつは、とある着ぐるみキャラを作ったことです。
相当奇抜なやつです。
見た目はご想像にお任せします。

さて、今いぬじが担当しているのは、エアトレインという乗り物です。
高さ3mのレールの上を真っ赤な可愛らしい列車が走り、まるで空中を進んでいるような感覚が味わえるアトラクションです。
時速15km程度でゆっくり園内を回るので、小さいお子さんからお年寄りまでのんびり景色を楽しむのにぴったり。特に身長制限でまだ乗れないアトラクションが多い子どもさんは、一日に何回も乗ってくれたりもします。
いぬじは、その運転手を務めているのです。
昔おサルの電車というのがありましたが、
タヌキ
もといワンコの空中列車として家族連れにじわじわと人気が広がってきました。
運転手と言っても完全自動運転ですので、基本的に運転席に座っているだけなのですが、時々「ただいま、ゆっちょくんのあたまのうえをはしっております」というようなアナウンスをするという大切な役目も担っています。
ご想像通り、ゆっちょくんというのが前述の着ぐるみキャラです。
相当奇抜な奴です。

週末には少し行列ができるほどのエアトレインですが、今日は平日。おじいちゃんおばあちゃんに連れられた小さなお孫さんがちらほらと乗りに来てくれる程度ですが、いぬじはこういうゆったりした時間の流れが大好きです。
たまに大学生くらいのカップルが乗ってくれますが、ほとんど景色も見ず、いぬじのアナウンスもまるっと無視でおしゃべりに夢中ということも多く、いぬじはちょっとイラッと
することはなく、「たのしんでくれてうれしいなあ」と思っています。

今乗っているカップルもいぬじそっちのけでお喋りに夢中ですが、いぬじは犬並に耳がいいので比較的小声で話していても全部聞こえているのです。
今日は、そんなカップルの会話をちょっと聞いてみましょう。

「ねえねえコウ君、次何乗る?」
「絶叫系とかは?」
「え~、ちょっと怖いかも~」
「それじゃホラーハウスとかは?」
「え~何コウ君、私のこと怖がらせて抱き付かせようとかしてる?」
「(図星)いやいや、ほら、これすごいのんびりしてるからさー、次はちょっとスリルのあるのがいいかな~って」
「ほんとに~?私結構こういうのんびり系好きだからー、そんなスリルとか別にいいよ~」
「へ~、じゃあ映画もホラーとか観ない派?」
「あーもう、全然無理無理無理」
「じゃあさ、一番怖いものって何?」
「え~、一番怖いもの?なんだろーなー、うーん、…パパ?」
え゛っっ
「嘘嘘、全然怖くないよー」
「(ほっ)マジでシャレになんないからそれ」
「アハハ、私には超甘だよー、まあ怒ると怖いのはほんとだけどね~」
「…え?どういう時に怒んの?」
「一番怖かったのは、中学時代に塾行ってるふりしてそん時の彼氏と会ってた時かな~」
「(元カレの話かよ) …バレたんだ」
「そうそう、それがさ~、駅前歩いてたら会社から帰ってきたパパとバッタリ会っちゃって~、周りに人いっぱいいるのに『お前美咲と付き合ってんのか!!』って大声挙げて、もう恥ずかしいったらなかったし」
「…」
「それでさ、彼氏逃げちゃったんだよ、ひどくない?」
「…」
「結局そのまんま自然消滅だもん、パパに文句言ったら『それだけの男だったんだからむしろ俺に感謝しなさい』って何かちょっとにやついてんの、ムカつくよね」
「……」
「そうそう、最近も『変な男に引っかかってないだろうな』とかいちいち聞いてくんだよね~。コウ君が変な男なわけないじゃんね」
「…なんか、のど乾いてきた」
「あ、そうだね、じゃあ降りたらカフェ入ろ」
「…うん、できればビール飲みたい」
「え~ダメだよー、飲んだら乗っちゃダメって書いてあるアトラクション結構あるし」
「そう、だね」
「とうちゃくでーす、ごじょうしゃありがとうございました、おきをつけておおりください」
「ワンコの運転手さんバイバ~イ、ほらコウ君も」
「…ばいばーい」
「ありがとうございました。あとがんばってください」
「…うん、ありがとう」
「ん?コウくん何か頑張るの?じゃあ私も応援したげるね~がんばれ~」

その後、一人乗りの回転ブランコでキャーキャーはしゃぐ美咲ちゃんの後ろで、生気のない表情で遠くを見つめているコウ君の姿がいぬじから見えましたとさ。
おしまい。


その後、コウ君と美咲ちゃんが続いたかどうかも、
ご想像にお任せいたします。
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