職業(その42)
今月初めに健康診断を受けたのです。
その結果が昨日返って来て、ちょっとドキドキしながら開けると、
コレステロール値が基準をオーバーしていました。
「あ、ヤバい、おやつ食べ過ぎたか」
と思いながらよく見ると、
HDL(いわゆる善玉)の方でした。
まあ多すぎるのも良くないようですが、そこまで多いわけではないので助かりました。
さて、今日は土曜ですので、土曜恒例「いぬじが〇〇だったら」の日です。
職業図鑑の上から順に毎週違う仕事をいぬじにやらせていくという、いわゆる『もしもシリーズ』です。
今日の職業は、『トリマー』です。
犬生十年、一度もトリマーさんにお世話になったことはないいぬじ、
自分がその立場になった時にはどんな働きぶりを見せるのか。
ではいってみましょー。
いぬじがトリマーとして働き始めて半年。
お店にはスタッフが3人いますが、いぬじは体が小さいので小型犬専門として働かせてもらっています。
それでも自分より大きい子もかなりいます。
「すみません、ちょっとじっとしててください」と低姿勢でお願いします。
今日いぬじが担当するのはトリミングが初めてのお客さんです。
まだ生後4か月のパピヨンで、名前はリリちゃんと言います。
リリちゃんがかなり緊張していたので、いぬじは優しく話しかけました。
「こんにちはリリちゃん、ぼくいぬじだよ」
「おにいちゃんもいぬなの」
「そうだよ、ぼくもいぬだよ」
「ほかのひとはいぬじゃないのにおにいちゃんはいぬなの」
「そうだよ、ぼくだけいぬだよ」
「でもいぬのおにいちゃんでよかったな」
「ありがとう、ぼくがんばるね」
「うん」
「それじゃ、さいしょにつめきりするね」
「あ、それ、まえにされたことある」
「かいぬしさんにやってもらったの」
「ううん、うまれたおうち」
「そうか、ぶりーだーさんにやってもらったんだね」
「うん」
「いたかった?」
「ううん、ぜんぜんいたくなかった」
「そっか、ぶりーだーさんはやっぱりじょうずだね」
「じょうずじゃないといたいの?」
「いたいこともあるけど、ぼくがんばるよ」
「うん、いたいのやだな」
「だいじょうぶ、つめがしろいから」
「しろいとだいじょうぶなの?」
「うん、くろいときりすぎちゃうことがあるけど、しろいとけっかんがみえるからきりすぎないよ」
「おにいちゃんのつめ、まっくろだね」
「うん、だからかーちゃんがたまにしっぱいしていたいの」
「じぶんできらないの」
「うん、じぶんじゃきれないの」
「かわいそう」
「でも、がまんしたらおやつもらえるの」
「いいな、わたしもおやつほしいな」
「わかった、あとであげるね」
「やったー」
そうして、いぬじは無事深爪させずに爪切りを終え、耳掃除、歯磨き、足回りやお尻回りの毛のカットをして、シャンプーを始めました。
「ちょっとじっとしててね」
「うん、がんばる」
「あつくない?」
「うん、ちょうどいい」
「かゆいとこない?」
「みみのうしろがちょっとかゆいな」
「じゃあしっかりこすっておくね」
「あー、そこそこ」
「しっぽのつけねもごしごしするね」
「うん、あーそこそこ」
犬同士なので、気持ちいいツボはよく知っています。シャンプーだけいぬじにお願いしたがるお客さんもいるほどです。
隣のテーブルでシャンプーを待っていたトイプードルの小太郎君も、「あのおにいちゃんにあらってほしい!」と言い出しました。
スタッフの長居さんは、「じゃあリリちゃんは私が乾かすから、いぬじは小太郎君も洗ってくれる?」と交代しました。
「あーずるい、わたしもいぬじくんがいい」
「ぼくもぼくも」
ケージの中で順番を待っていたチョコちゃんとテンテンくんもいぬじをご指名です。結局、いぬじはその日の小型犬のお客さん全員のシャンプーをしました。
閉店後。
いぬじは店長に呼ばれ、こう言われました。
「ねえ、いぬじはシャンプー好き?」
「あ、じつはぼくあんまりすきじゃないです」
「…そっか、じゃあ諦めるかな」
「なにをあきらめるんですか」
「あのね、いぬじのシャンプーがとっても人気だから、明日からいぬじは小型犬のシャンプー専門になってもらおうかと思ったの。でも苦手なら無理強いはできないね」
「あ、すきじゃないのはじぶんがしゃんぷーされることです」
「えっ、じゃあシャンプーすることは嫌いじゃないの」
「ううん、みんなよろこんでくれるからすきです」
「じゃあシャンプー専門でもいいの?」
「はい、ぼくやります」
翌日から、いぬじはシャンプー係になりました。
実はいぬじはハサミや鉗子を持つのがちょっと怖かったので、シャンプー専門になって本当に助かったのです。
お客さんにも「かゆいところに手が届く」と大人気で、他のスタッフも暴れる子をなだめすかして洗う必要がなくなり、売上も上がり、皆が幸せになりましたとさ。
めでたしめでたし。
実際いぬじはシャンプーが苦手です。
五豆は逃げようと必死です。
猫はこっちが傷だらけになります。
- [2017/07/22 17:02]
- 〇〇いぬじ |
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コメント
私も、そのいぬじさんの肉球で頭皮をマッサージされてみたいです。
「とうひ」と打ったら「逃避」になりました。
まこりはトリマーさん大好きでシャンプーもカットもうっとり。
ツルちゃんも先日のシャンプーのおりこうさんには飼い主も驚きでした。
いぬじさん、シャンプー苦手なのね。
五豆たんは、逃げようと足の爪をカシャカシャと音を鳴らしながら逃げる姿が想像できます。
先日はコメントで三豆さんとしし豆さんのお名前を間違えてしまいました。
訂正してお詫び申し上げますm(_ _)m
たれくりたん様
【逃避マッサージ】意味:現実逃避できるほど気持ちいい職人技。
最近はちょっと研修受けただけのアルバイトが多いそうなので、逃避マッサージ、受けてみたいです。
そちらのワンちゃん達はシャンプー好きでうらやましいです。
いぬはシャンプーまではまだいいですが、ドライヤーの間ずっと文句言ってます。
五豆の逃げる姿、まさにその通りです。さすがです。
いえいえ、飼い主もよく呼ぶ名前を間違えますので全然気になさらないでください。
人間の子どもなら「また間違えた!」と怒るところですが、犬猫は「今呼ばれたような?」という顔をするだけなので、
安心してまた間違えます。