職業(その45) 

今朝かなり強い雨が降ってきたので出掛けるのをやめようかと思ったのですが、
少しすると止んできたので予定通り出掛け(犬は留守番)、
着いた先で涼しかったので正解だったと喜び、
帰りは普通に暑くなりました。
夏ですね。

さて、連休で忘れがちになりますが、今日は土曜ですので土曜恒例「いぬじが〇〇だったら」の日です。
職業図鑑の上から順に毎週違う仕事をいぬじにやらせていくという、いわゆる『もしもシリーズ』です。
今日の職業は、『花屋さん』です。

エプロン姿の小さい犬がせっせと花を運ぶ姿を想像すると微笑ましいものがありますが、
さて、そこはいぬじですので、どうなりますやら。
それではいってみましょー。


いぬじが花屋さんで働き始めて半年。
初めのうちは花が入ったポットを蹴飛ばして倒したり、花の値段を間違えてレジに入力したり、小さな女の子におばあちゃんのお誕生日祝いの花をくださいと言われ花束に仏花を混ぜ掛けたり(これは店長が直前で気づいて事なきを得た)、色々と失敗もやらかしましたが、ようやく迷惑を掛けない程度に仕事ができるようになりました。

さて、先程来店されたのはスーツ姿の若い男性です。
冷蔵ショーケースの中のバラを見ながら、「やっぱり赤だよな…、いや、ピンク好きだし…、でも花嫁と言えば白だな…、お、青もきれいなんだな…」などとぶつぶつ呟いています。
「いらっしゃいませ」
独り言がやんだ瞬間を見計らって、いぬじがそっと声を掛けました。
「あ、えっ、い、犬??」
「はい、いらっしゃいませ、いぬじです」
「あ、ああ、そう、いぬじ君ですか」
「はい、いぬじです」
「あ、僕は大路です」
「おおじさんですか」
「おじさんじゃないよ、なんてね、アハハ」
「…」
「ご、ごめん、テンパってた」
「おもしろかったです」
「あ、ありがとう」
奥にいた店長が吹き出しそうなのをこらえました。
「きょうはどんなはなをおさがしですか」
「いや、あの、実は、か、彼女にプロポーズをしようと思って」
「おめでとうございます」
「い、いや、まだうまくいくとは限らないんだけどさ」
「だいじょうぶです」
「そう言ってもらえると心強いよ」
「ばらにされますか」
「あ、うん、やっぱりプロポーズと言えばバラかな」
「あかいろ99ほんはどうですか」
「99本?100本じゃなくて?」
「99ほんのばらはえいえんのあいといういみがあります」
「へえ~」
「108ぽんもいいです」
「へ?除夜の鐘的な?」
奥にいた店長が「バラで煩悩祓いませんがな」と心の中でツッコみました。
「108ぽんはけっこんしてくださいといういみがあります」
「へえ~そうなんだ、それもいいな」
「999ほんでもいいです」
「あ、いや、さすがにそれは多いな」
奥にいた店長が「そもそも店にそんなにあらへんがな」と心の中でツッコみました。
「ちなみに999本だとどんな意味があるの?」
「なんどうまれかわってもあなたをあいします、です」
「へえ~~」
「でも108本だとレストランまで隠しきれなさそうだな」
「50ぽんはどうですか」
「それも意味はあるの?」
「『えいえん、であいはぐうぜん』です」
「へえ、それ僕たちにぴったりかも」
奥にいた店長(36歳♀・独身)が「ふう~ん、偶然の出会いね~、月9的な~?」と心の中で羨みました。
「うーん、赤ばっかりじゃなくてもいいかなーとも思ってね」
「じゃあ10ぽんと10ぽんと10ぽんと10ぽんと10ぽんで50ぽんにしますか」
奥にいた店長が「なんべんぽんぽん言うねん」とツッコみました。
「えっ」
「あっ、すみません(汗)」
「てんちょうにつっこまれました」
「アハハ」
「本当に失礼しました」
店長はたまに心の声が口から漏れてしまいます。
「あかとぴんくとしろとあおとおれんじで50ぽんはどうですか」
「赤と白の花束には『結婚してください』という意味があるんですよ」
店長が横から説明を加えました。
「あ、そうなんですか、そりゃいいな」
「ピンクと青とオレンジにもそれぞれ愛情や信頼に関する花言葉がありますよ」
「じゃ、じゃあそれでお願いします」
いぬじは早速5色のバラを10本ずつ集めて店長に渡しました。いぬじはまだラッピングがうまくないので、上手な店長の出番です。
「リボンの色はどうされますか?」
「じゃあ、ピンクで」
「かしこまりました」
店長の熟練の技でとてもきれいな花束が完成しました。
「これなら彼女もきっと喜びます」
「プロポーズ、うまくいくといいですね」
「はい、頑張ります!」
大路さんは喜び勇んで店を出て行きました。
「いいなあ」
店長がぽつりとつぶやきました。
いぬじはすっかり開き切ったバラを一本手に取って、
「おかねはぼくのおきゅうりょうからひいてください」
と店長に渡しました。
店長は、
「いいよ、サービスしとく」
と言って、茎を短く切ったバラをレジ前のグラスに飾りました。
おわり。



後日、大路さんは婚約者を連れてまた花を買いに来ました。
(店長以外は)めでたしめでたし。
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