職業(その52) 

9月も終わりですね。

ということは、2017年もあと3か月しかないわけです。
4分の3が終わってしまったのです。
まさに光陰矢の如し。
こわ。

さて、気を取り直しまして、今日は土曜ですので土曜恒例「いぬじが〇〇だったら」をやります。
職業図鑑の上から順に毎週違う仕事をいぬじにやらせていくという、いわゆる『もしもシリーズ』です。
今日の職業は、『訪問介護員』です。

いわゆるホームヘルパーさんです。
ん?前もやらなかったっけ?
と思われた貴方、さすが素晴らしい記憶力です。
そうです、その14で「介護ヘルパー」という職業として採り上げましたが、あの回が大変評判が良かったので、ここに晴れて復活です。
あの兄ちゃんもまた出てきますよ。

それでは張り切ってはじまりはじまりー。


いぬじが訪問介護員になって早一年。
特に資格を持たずに始めた仕事でしたが、営業所の所長の勧めで頑張って勉強し、無事介護職員初任者研修を終えました。
時々、いやかなりの割合でテキストの漢字が読めませんでしたが、同じ営業所の先輩スタッフ、神田さん(女性・53歳)が読めない漢字に全部平仮名を打ってくれたお蔭で家でも勉強が進められました。
ちなみに平仮名を打ってもらう前にかーちゃんに読み方を聞いたところ、2つめまでは教えてくれましたが、3つめで「はい」と漢和辞典を渡されました。
休憩中にもたもためくっていたら神田さんが手伝ってくれました。

さて、本日最後の訪問先は、今日で二回目の本山さんという夫婦二人暮らしのお宅なのですが、実はいぬじ、ここのご主人がちょっと苦手なのです。
声が大きく、威圧的で、訪問初日は玄関でいぬじを見るや否や「おい、なんだ、お前犬か」「犬に仕事が勤まるのか」「昔飼ってた犬が何にもできないバカでなあ」とまくし立てたのです。
逆に奥さんはとても優しい人で、「ごめんなさい、酷いことを」とすぐ謝ってくれたのですが、「本当のことを言って何が悪い」と今度は奥さんに怒り始める始末。
隣りで聞いていた相棒のサトル君もさすがに切れそうになって「おいおっさん」と言いかけたのですが、いぬじが「はいほんとうのことです、でもむかしのいぬさんはばかじゃないとおもいます」とかぶせるように言ったので、なんとか事なきを得ました。
その日はご主人がそのまま散歩に出かけたのでそれ以上のことはありませんでしたが、今後大丈夫だろうかといぬじは少し心配になりました。
サトル君が本気で切れやしないかと。

今日の話に戻りましょう。
本山さんの家に向かう途中の車の中で、サトル君がいぬじに話しかけました。
「なあいぬじ、あのおっさん、今日はずっと家にいるつもりかね」
「どうかなあ」
「またどっか出掛けてくれるといいんだけどよお」
「でもこれからあめがふるよ」
「そうなんだよなあ、パチンコとか行ってくんねえかなー」
「きんじょにぱちんこやさんないよ」
「車の運転もやめたって奥さん言ってたしなあ、…あー着いちまった」
サトル君はあからさまに渋々車を降りてチャイムを押し、インターホンに向かって「どーもー、ぐーちょきヘルパーステーションから来まっしたー」と声をかけたのですが、5秒ほど待っても返事がありません。サトル君はもう一度チャイムを鳴らして同じようにもう少し大きな声で声を掛けましたが、やはり応答がないのです。
「んだよ、留守かよ」
サトル君は一階の窓を覗こうとしましたがカーテンが閉まっていて全く見えません。
「いぬじ、帰るぞ」
「まって」
「…あ?」
「だれかいるよ」
「でも誰も出ねえじゃねえかよ」
「こえがきこえるよ」
「…全然聞こえねーけど、やっぱ犬には聞こえんのか」
「うん、なんかうーうーいってる」
「…マジかよ」
サトル君はさらにチャイムを連打しましたがやはり誰も出ません。
「…あーークソ、めんどくせー!」
サトル君は窓に回ってガンガン叩きながら「おい、おっさん!いるんだろ!返事しろよ!!」と怒鳴りました。
「さっきよりうーうーがちょっとおおきくなったよ」
「おっさん、修理代とか請求すんなよ!!」
サトル君が花壇のレンガをひとつ手に持つと、窓のロックの近くにぶつけて割り、手を入れて鍵を開け家の中に飛び込みました。

「おっさん!どこだ!!」
「こえ、こっちからだよ」
サトル君といぬじがキッチンの方へ走っていくと、頭から血を流してご主人が倒れていたのです。
「おい、おっさん、しっかりしろ!!」
「きゅうきゅうしゃ、よんだよ」
「奥さんどうしたんだよ!!」
「…家内は、義姉の見舞いで、帰りの、電車が、遅れて」
「わかった、わかったからもう喋んな、おっさん絶対動くなよ、いぬじ、使ってねえタオル!!」
「はい」
「お前これでここ強く押しとけ、俺は奥さん駅まで迎えに行ってくっから、病院分かったら電話しろ!」
「うんわかった」

10分ほどで救急車が到着し、いぬじも同乗して一緒に病院へ行きました。20分後にサトル君と奥さんも到着し、検査の結果命に別状はないことがわかってようやく3人で胸を撫で下ろしました。
「しっかり圧迫止血してくれたおかげですよ」
お医者さんがそう奥さんに伝えると、奥さんはいぬじとサトル君に今日20回目の「本当にありがとうございました」を言いました。

ご主人は、二人が家に来る前にお茶の準備をしておこうとキッチンに向かい、足を滑らせて転倒してしまったのです。幸い手をしっかりついたので脳の損傷は大したことはありませんでしたが、頭だったため出血量が多かったのです。
手際のいい応急処置にお医者さんも驚いていたのですが、なぜサトル君が冷静に対処できたかというと、いわゆる、昔取った杵柄でした。
ヤンチャをしていた時代に何度かチームの抗争があり、その時に身に着けた知識と技でした。

その後、ご主人の声の大きさは相変わらずでしたが、「この人、美味しく入れられるよう練習したんですよ」「バカもん、言うんじゃない」と話していた通り、ちょっといいお茶を用意して二人の訪問を待つようになりましたとさ。
めでたしめでたし。


本当にこの職業は筆、いやキーボードが進みます。
また評判が良ければ続きもやりたいと思います。
ちなみに本山さん夫婦は大恋愛の末に結婚という設定です。
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